私になりたい

仕事も心も安定しない一人暮らしメンヘラアラサー

そこに愛はあるのか

体だけ求められているような気がした。
自分の意志がそこにはなかった。
熱量に負けないように、言葉を唱えた。
一瞬怯んだように見えたが、言葉は相手の上を滑り、床に落ち、細かく散って、どこかへ消えてしまった。

いくら相手を思いやっても、言葉を紡いでも、届かなければそれは全くの無意味だということに気付かされる。

ひたすら苦痛でしかない中で、頭だけ冷えていくのを感じる。
愛は見えない。
見えないのだから、信じるしかない。
信じることが出来なければ、そこに愛を見ることは出来ない。


好きだった匂いのことを既に懐かしく思っている。
そこには確かに愛おしさの名残りがあった。

眠った相手の腕を取り、手と指を重ね握ってみても、握り返されることはない。
わたしも、わたしの言葉も、握り返されない手と同じ一方通行。